はじめに
2025年7月5日、私は滋賀県東近江市布引の森で、初めて風景写真の講師を務めさせていただきました。初めての試みということもあり、「話が皆さんの心に響くだろうか」「限られた時間で知識や経験を伝えきれるか」 といった不安でいっぱいでした。
しかし、参加者の方々からは「人生が変わった」「このイベントが一番好き」「受ける前とでは格段に写真のクオリティが上がった」など、嬉しいコメントをたくさんいただき、中には今年ヒマラヤに挑戦する方も。私の教えが誰かの人生に良い影響を与えられたことに、心から感動しました。
今回は、普段の介護の仕事とは異なる「番外編」として、私が風景写真を撮る上で大切にしていること、そして講師を務めるまでの経緯をお話ししたいと思います。


風景写真講師への道のり:布引の森との出会い
私が趣味で風景写真を撮り始めて3年になります。ある日、ネットで見つけた「2024年YAMAPフォトコンテスト」に軽い気持ちで参加を試みました。プロアマ問わず参加できる大規模なコンテストです。
しかし、2歳になる娘の育児と仕事の両立は想像以上に大変で、なかなか撮影の時間を確保できませんでした。保育園からの連絡を考えると電波の入りにくい山は避けたいし、標高の高い山ではすぐに下山できない。そんな「都合の良い山」を滋賀県内で探したところ、自宅からも近い東近江市にある布引の森を見つけました。
森は手入れが行き届いていて怪我のリスクも低い。「ここだ!」と直感し、それから足繁く通い始めました。朝から昼過ぎまで森にこもり、ひたすら自分と向き合いながらシャッターを切る日々。その甲斐あって、なんと応募総数1万8千点の中から、入賞30選に選出されたのです!
この結果に驚き、すぐに布引の森のスタッフに連絡したところ、写真の展示だけでなく、写真教室の開催まで提案していただきました。小さな挑戦が、まさかこんな素晴らしい経験に繋がるとは、驚きと感謝の気持ちしかありません。この経験をぜひ皆さんにもお伝えしたく、現在布引の森で風景写真の講師を務めさせていただいています。
(これらが入賞した作品です)
タイトル「キノコマンション」

私が風景写真で大切にしていること
この写真教室で、私が最も伝えたいのは、技術以上に「心」で写真を撮ることです。
自分の感情と向き合う
風景写真に出かける前には、必ず自分の気持ちと向き合います。例えば、イライラしているのか、寂しい気持ちなのか。なぜなら、感情が写真に与える影響は非常に大きいからです。荒々しい写真になることもありますが、それもまた、その時の自分を映し出す楽しい一枚になり得ます。登山中など、体が慣れない時に自分の感情を認識することで、心の中のモヤモヤが晴れ、より自然と深く向き合えるようになります。
写真に物語を考える
「自分と向き合う」と言われても、最初は難しいと感じるかもしれません。それなら、撮りたい写真に物語を考えてみることから始めてみましょう。意識しなくても、自然と自分と向き合えるようになりますよ。
例えば、この写真をご覧ください。

この写真は、葉っぱの生き生きとした様子を表現したくて、下から撮影しました。新緑の瑞々しい緑が光を透かし、一枚一枚の葉脈がまるで血管のように浮かび上がっていました。 上から太陽の光が燦々と降り注ぎ、生命力に満ち溢れている様子が伝わるかと思います。この木が生えていた場所は、周りに大きな木々が生い茂っていなかったため、私には「んー!」と背伸びをしているような、元気いっぱいのイメージが湧きました。
このように、写真にストーリーを持たせることで、葉っぱの様子、空、太陽の位置など、より多くの情報を自然と取り込もうとします。これこそが、自分と向き合い、自然と向き合うことのできる素晴らしい方法の一つなのです。
すぐにカメラを構えない
目の前の風景に「綺麗!」と感じたら、すぐにシャッターを切りたくなりますよね。でも、「思ったような写真が撮れない」「イメージと違う」と感じたことはありませんか?それは「自分と向き合っていない」からかもしれません。まずは「どうしてこの風景が綺麗だと感じたのだろう?」 と問いかけてみてください。しゃがんだり、別の角度から観察したりすることで、新たな気づきに出会えるかもしれません。
人に見せて説明する
撮った写真を他の人に見せることも大切です。自分が感じた感情を第三者に伝えるには、工夫が必要です。写真だけで伝えられるよう試行錯誤する過程が、自身の写真表現を磨く上で非常に重要です。
良い写真が撮れなくても受け入れる
「良い写真を撮りたい」と意気込むあまり、イライラすることもあります。そんな時は、そのイライラしている自分を受け入れてみましょう。「なぜイライラしているのか」「どうしてうまく撮れなかったのか」を考える。そして「それらすべてが自分なのだ」と受け入れることで、感情をコントロールし、冷静に写真と向き合えるようになります。
次回の写真教室のご案内
残念ながら7月5日の写真教室は終了しましたが、2025年7月31日(木) にも開催が決定しています。
自然の中で心と向き合い、風景写真の新たな魅力を発見する時間をご一緒しませんか?参加費は2,500円で、嬉しいホットサンド付きです。



ご興味のある方は、ぜひ**布引の森(電話番号:0748-29-3411)**へお問い合わせください。皆さんとお会いできるのを楽しみにしています!
写真を通して、あなたは何を感じ、何を表現したいですか? ぜひ、あなたの「心で写す絶景」を見つけてみてください。
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