作り笑いじゃない「本当の笑顔」が生まれる瞬間。――『山の時刻』を読んで。 

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はじめに

意味を知ることで、世界は一変する

最近、小林百合子さんと野川かさねさんの共著『山の時刻』を読みました。野川さんの写真は、一見すると雑多な風景も多いのですが、そこに添えられた文章で花の意味や季語、撮られた経緯を知ると、写真の価値が劇的に変わることに驚かされます。

「なんとなく綺麗」でシャッターを切っていた頃とは違う、新しい視点。物事の「裏側にある意味」を知ったとき、僕のカメラが捉える世界は、もっと深く、ワクワクするものに変わるのだと気づかされました。

「偶然」がもたらす、染みるような感動

本の中にあった「その染みるような感動は、偶然だけがもたらすものではないか」という一節。これには深く共感しました。

僕にも忘れられない経験があります。1月の月初め、写真仲間と登った滋賀県の蓬莱山。ご来光を狙ったものの、山頂は立っていられないほどの暴風と厚い雲。諦めかけたその時、雲の隙間から光が差し込み、目の前の山脈がキラキラと輝き始めたんです。 狙って撮りに行ったどんな絶景よりも、あの過酷な状況で出会えた「偶然の光」の方が、僕にとっては数百倍の価値がありました。

介護の現場で気づいた「本当の主役」

この「意味を知る」ことと「偶然の価値」は、僕の介護の仕事にも通じています。 かつて僕は、レクリエーションを「楽しんでもらっている」と思っていました。しかし、大学時代に教わった「利用者さんは(僕らと)遊んでくれている」という言葉が、今でも胸に深く残っています。

利用者さんは、僕たち職員にとっていつまでも「人生の先輩」であり、親のような存在。僕らが一生懸命考えた出し物に、彼らは優しく乗ってくれている。実は、利用者さんが僕たちを喜ばせてくれていたのです。その意味を知ったとき、僕と利用者さんの関係は「先生と生徒」ではなく、「持ちつ持たれつ」の温かい関係に変わりました。

演じ切ることで生まれる、本当の笑顔

では、利用者が本当に喜ぶ瞬間はいつなのか。それは「自分のしたことに対して、本気で喜んでくれる職員の姿を見たとき」ではないでしょうか。

もし利用者さんが、僕たちを喜ばせるために「演じて」くれているのだとしたら。 僕たち介護士もまた、その優しさを全力で受け止め、全力で喜び、演じ切ることが大切だと思うのです。その「想いの重なり」の先にこそ、本当の笑顔がある。

結び

「偶然の光」が山を黄金色に変えるように、介護の現場でも、お互いの想いが重なった瞬間にだけ生まれる景色があります。 季節に置いていかれないように、一瞬の光や、利用者さんの小さな変化を大切に掬い取っていきたい。

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